相談No.2205

男は浮気するものだからとカウンセラーに言われた

挿絵こんにちは、校長。相談するのはお久しぶりです。(夫婦の)カウンセリングを受けているのですがカウンセラーの話に一部納得できない部分があり、校長の意見を伺いたいです。お時間ありましたら、お願いします。

**歳(三十歳前後)夫婦の妻です。昨年、彼の浮気が発覚し、別居をして今年に入ってから夫婦カウンセリングを受けていました。カウンセリングでは、私はわかりやすく問題のある家庭で、彼もわかりにくいが問題のある家庭であること、結婚というか二人とも鬱状態であり、投げやりであるなど言われました。
カウンセラーの意向で、彼のみのカウンセリングをしばらくしていましたが、彼は仕事や体調を理由にカウンセリングを後回しにするところや、私と一緒に過ごそうとしない部分などあり、私としてはもう別の人と関係を築きたい気持ちが出てきて、彼に対し私に恋愛感情があるのか尋ね、わからなかったけど考えてみたらどちらかというと人間として好きだと言い、彼が細かいことが気になり私にうるさくいうこと、私は気にしなくても生きていけるのにお互いにとってよくないから、離婚した方がいいと言いました。
これから、離婚の具体的なこと、引っ越し、財産分与、浮気の慰謝料などを話し合う予定です。

経過としてはざっくりこんな感じなんですが、夫婦カウンセリングとは別に、私はトラウマのカウンセリングを受けていて、そこでも旦那との関係は問題として出てくるため(私の体調や精神に影響する)話しました。
トラウマのカウンセラーは、浮気のことは交通事故のようなものだと言われ、私は何も悪くない。もし、結婚相手が私でなくても同じことをする、ということと、男性は性欲が女性の20倍あり、衝動性が高いことなど説明されました。また、人間は遺伝子的にチンパンジーにかなり近く、男性は言い寄られれば95%(99%だったか)浮気するものだと言いました。

私は、これまでのことは変えられないため未来のことを考えたのですが、私の今の旦那がチンパンジーであることは間違いないですし、私に非がないならなにもしなくていいのだから楽です。ただ、この先出会う男性も95%から99%言い寄られたら、浮気するのだとしたら結婚なんてしたくないと思いました。
でも、ちょっと極端なんじゃ?とも思っていて、確かに女性よりも衝動性が高く、性欲も強いんでしょうが、心が動いてしまったとして、頭で、理性でコントロールできるのが人間なんじゃ?とか、そもそも何が大切なのか日頃から考えられるような人はそんなことしないんじゃ?と思っています。
どうなんでしょうか。
ちなみにカウンセラーは60代男性です。
校長も同じように思われますか。

校長の回答

人は信じられないが信じられる

挿絵カウンセラーがそんなことを言うなんて踏み込みすぎじゃないか?「君のせいではない」を言いたいがために、男の浮気は発生して当然みたいな言い方をするのは、なんか誰かを褒めたり否定しないために他の誰かを悪者にするしかない人みたいでダサい感じがするんだが。話がそれるが、それって昔の為政者が、民衆の不満を抑えるために誰かを犠牲にして処刑するのと同じだと思う。

まぁ男も女も性欲は大差ないが、結局、その手前で精神活動がかなり必要な(そういう傾向の人が多い)女と、精神活動をあまり必要とせずに性欲が湧く(そういう傾向の人が多い)男では、やっぱりその「浮気」に至る確率も変わるだろう。ただ、浮気について語るなら、そんな単純な話ではないんだよな。性欲で簡単に話をまとめるなんて認識が浅いと思う。

例えば、腹が減って減って飢え死にしそうなときに誰かのパンを預かることになったら99%の人は食べてしまう、という話があったらどうだろうか。まぁそりゃそうでしょうねと思うだろうし、だからと言って「人間の99%は悪人でルールを破る人ばかりだ」とは言えないよな。むしろ「飢え死にしそうなときに誰かのパンを預かることになったら」という条件、犯罪に手を染めるであろう条件をわざわざ作り出して語っているようにも見える。でも通常、パンを盗むかどうかは、倫理観とか教育、飢え具合、バレる確率、刑罰、などによって左右されるだろう。そういったことをすっ飛ばして「パンを盗むであろう状況を作ったら人間はパンを盗むんだよ。だから人間は悪」と言ってるような理屈は、もう条件設定が結論に合わせにいってるから、意味がないわけだ。伝わるだろうか。カウンセラーも「男性は言い寄られれば」と条件を絞っているが、その前提にどれだけの意味があるのか。

浮気しやすい状況を生み出せば男も女も浮気しがちなんだよな。目の前に素敵な人がいて、性的な欲求を煽られていて、絶対にパートナーにバレないことが保証されていて、恋愛経験をもっと増やしたいと思っていて・・・とか浮気しやすい条件を重ねていけば浮気しやすい。当たり前だよな。だって浮気しやすい条件を絞っていったんだから。

でも実際に浮気するかどうかは、パートナー以外には節度を持った距離感で接するようにしていたりとか、あんまりモテなかったりだとか、自ら浮気できる状況を作り出してまでそうしたいとは思わない能動性のなさとか、周りの視線が怖いと感じるだとか、心が満たされているとか、年齢的に萎えたとか、そんなことにも大いに左右されるだろう。校長は「浮気しやすいとは言えない状況からでも浮気しようとするか」「日常生活で容易に発生する状況からでも浮気するか」に、その人の浮気しやすさが出ると思うんだよな。何も限定しないで、「ただの日常」からの浮気しやすさが99%だとか95%だとかは明らかに言い過ぎ。

「頭で、理性でコントロールできるのが人間なんじゃ?とか、そもそも何が大切なのか日頃から考えられるような人はそんなことしないんじゃ?と思っています」

まぁ校長は人がそんな美しいものだとも思ってない。本当に人の気持ちが分かる、優しい、誰からも好かれるような、純粋な気持ちを持った人でも(女でももちろん)いろいろ条件が揃うなどして、浮気するときはする。校長は人を信じているが信じていない。浮気しないから素敵で愛のある人だとか、浮気したからその人の愛や優しさは嘘だとか、そんな風には思わないからな。ただ多面性とかリアルを捉えているだけで。そしてやっぱり、浮気しないまま終わるであろう人も、たくさんいる。「浮気しやすい人だけど浮気しないまま年を取った」「浮気しにくい人だけど浮気した」という人もたくさんいる。それがリアルだ。

べつに人を信じなくても恋愛はできるぞ。校長と同じように、人を信じず、しかし信じて、リアルを受け止めればいいのさ。ただ浮気しないでくれと願いながら、できるだけ良い関係、風通しの良い関係を作ろうとだけ思いながら、あとはもう願うことしかできないと諦めながら、恋愛していくしかない。人智を超えた要素はもう排除できないからな。

校長が言えるのはそんなところだな。人を信じるな。でも絶望もするな。ただ相手が浮気しないよう願いながら、自分ができることはやりながら、あとはもう祈るしかできないから。でもまぁ「日常の、通常の流れからは浮気しない人だ」ぐらいは信じていられないと精神衛生に悪いけども。

何にせよ悔いのない選択ができますように。
今後、パートナーと歩むにせよ、一人で歩むにせよ、君が幸せでありますように。