世間では「蛙（かえる）化現象」と呼ばれるようになったやつだな。校長は普通に「好かれると冷める」としか言ってなかったけど、いつの間にか世間で名前がついた。まぁ好かれると冷める以上に、好かれた相手を気持ち悪く感じてしまうというのは、なかなか強度が高い。

これっていくつかの理由があるんだが、一つは自分の恋愛ポジションと、相手の余裕が噛み合っていないということが原因としてある。意味が分からないだろうけども。単純に言って相手が急に好き好き感を出してくるということは、相手が優位に見えても素敵に見えても、実際は君の影響下に入ったということなんだよな。君が期待される側になった。でも君は恋愛に自信がないし、引っ張っていってほしいし、あまり自分を肯定もしていないし、こんな自分を（大事にはしてほしいけど）好き好きだなんて思わないでほしい。まぁつまりは見た目がいいのか何なのか、追いかけたいし引っ張られたい恋愛ポジションなのに、気持ちは勝っていないのに、勝ってしまう。この構図に一つポイントがある。

好かれることって相手が自分の影響を受けてくれることでもあるんだが、相手を影響下に置いて振り回せるほうが興奮できる、リードする立場でいたい、という人だってたくさんいるよな。そういう人は好かれても冷めない。でも女の中の多数派は、たいがい好かれ過ぎれば冷めるし、少し好かれるだけでも負の方向に反応する人はいるし、あまり自分のほうを見ずにカッコよくいてほしい、そういう中でかまってほしいと感じているんだよな。

あとは自己嫌悪を抱えている人がなりやすいというのも言える。自分が自分のことを嫌いなのに、好きだなんてやめてください、こんな自分を好きになるなんて残念な人だ、気持ち悪く思えてきた、となってしまう。

あとは、恋愛感情を抱いている男というのが何か気持ち悪く感じるだとか、熱っぽさが苦手だとか、これから精神的にくる何かが起きるかと思うと怖いと感じるだとか、いろいろ合わさって「好かれると冷める」に至る。

「でも今回、彼とはお付き合いしたいしその先も考えていくような関係性を築きたいと本気で思っています。その為にもまず、『本気になった男性』を気持ち悪いと思ってしまう自分の心を矯正したいと思っています。」

それができればいいけど、こういうのは気の持ちようで動かせる範囲は小さく、彼の成長や気付きとか心の余裕にも関わることであって、君だけの問題でもないんだよな。「彼と私の身長差を15cmにしたいです」ぐらい難しい話とまでは言わないが、そのような方向性の話だなと思う。

気持ちの矯正は無理だから、近々でできることと言えば、好かれているということがはっきりしている状況下で、彼に説明することだ。「もし私を好きでいてくれるなら、野良猫のように捉えてください。人がこっちを向くと逃げてしまうので。放っておいて自分の道を生きている人に寄っていきます。そういう中でかまってください」と。その説明でどれくらいの気付きや変化があるかは彼次第だろう。ここにはセンスとか成長が必要だ。

彼の話という枠組みを外して言うなら、君ももっと素敵になりつつ、もっともっとこうした恋愛の機微を心得た男を狙っていくほうがいいかもしれないな。まぁそういう男は危ないんだけども。好きでも「好き好きモード」は一切出さずに、相手をかまいながら、自分の道を生きていくような人はいるから。

ある程度の自信と、一つ二つと恋愛経験が重なれば、だいぶ改善されると思うけどな。自分のポテンシャルを信じて、いろいろ自分を伸ばして、「よしモテよう！」と思ってみるのもいいぞ。それが好かれるのを受け入れることにもつながるから。

少しずつ改善していきますように。
そして思い切り好きな人に好かれる未来がやってきますように。