【簡単に言うと】
校長によるコラムです。
◆重厚な話、答えがない話、視点が面白い話、興味深い話、意見などを並べます。少し難しい話になるかもしれません。
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タイトル人の性格は変わる?「変わりたい」を考える
人の性格は変わるのか。どうすれば変えられるのか。今までたくさんの相談を受けてきて、このようなことも何度も訊かれました。そもそも人の性格を変えていくべきなのかも含めて、「性格を変えること」について深掘りしてみようと思います。

◆人の性格は変わる?

みなさん自分を振り返ってみてどうですか?変わったような、でも昔から根っこは同じのような、何とも言えない感じかなと思います。

いきなり結論から言えば、性格は変わります。校長自身がもう二十代前半から比べればがらっと変わりました。理系脳で自我も強くモラハラ街道まっしぐらな校長ではありましたが、性格診断や恋愛診断づくりを極めようとして様々な心理本や哲学本を読みはじめ、ちょうどそのころに心に病を抱えた人と付き合い、さっぱり彼女の気持ちが分からず大混乱したということがありました。そこからすんごく優しい人になった・・・かと言えばそうとも言い切れず、根本には以前と変わらないモラハラ臭が残り、そこに人への優しさや理解が肉付けされたような感じになっています。外から見ればすごく変わったような感じがしますし、実際の振舞いも大きく変わっています。ですから「性格は変わった」と言って良いのでしょうが、根っこのところが変わった感じはしません。

これをどうイメージすれば良いのでしょう。校長はよく人の性格を「盆栽」に例えます。

盆栽は、かなり自由自在に形を変えることができるようではありますが、粘土のようにすぐに好きな形にできるわけではありませんし、時間もかかりますね。また、別の植物になることもできませんし、何でもできるわけではありません。幹を思い切り曲げることはできませんし、元々の特徴を生かしながら、変えていくわけです。

そして、盆栽にはもう一つ、「性格」の話との重要な類似点があります。それは「主に成長の仕方を変えられる」のであって、「今まで培った部分はほぼそのまま」だということです。だから、根本が変わっていない感じがするわけです。

単純化して言うと…。例えば若いころに「モラハラ気質」で4ポイント積み上げてきて、その4ポイントは残ります。そこから「人への優しさ、理解、共感」を6ポイント積み上げたら、合計10ポイントのうち6ポイント、おおまかには優しい感じですから、まぁ性格が変わった(少なくとも振舞いや表層の意識は変わった)と言って良いのではないでしょうか。実際はもっと複雑ですが単純化して言えばこうです。こんな感じですから、変わったような、変わっていないような、不思議な感じがするのです。

◆性格を変えたいのなら…進化すること

ここまでの話と重なるところがありますが、「変わりたい」という相談を受けると、よく校長は「別の誰かになろうとしないこと」を注意点として挙げます。盆栽のように、今まで培った部分は残りますし、それで良いのです。

性格診断をいくつもいくつも作ってきて思うのは、どの性格も一長一短であり、誰かの悪いところは良いところと表裏一体であるということです。例えば天真爛漫ならば、そのまま行けば、抜け目のなさや争いにおける立ち回りが下手になって当たり前でしょう。自分が持っている性格の「足りていない部分」が災いして辛い気持ちになったときに「変わりたい」と思う人は多いのですが、その「変わりたい」は、自己否定の「変わりたい」ですから、校長としては寂しい気持ちになるわけです。本当は、違う性格の人とは「違うルートで山を登っているだけ」なのに、自分側のルートをそう悪く思わないでほしいなとよく思います。

どの性格であれ、そのまま行けば「その性格なりの欠点」が大きくなり、いつか露呈し、課題にぶつかります。みんなそうなのです。ですから、大事なことは「他の人になろうとすること」ではなく、自分の良い部分を大きく伸ばしながら、表裏一体の「裏」の部分を補っていくことなのです。ポケモンをよく例に出しますが、くさタイプのポケモンなのにほのおタイプになろうしないで、そのまま進化していくことが大事だということです。そして弱点を埋めていけばいいのです。

◆どうすれば性格は変わる(進化する)のか

性格の変わり方は千差万別です。でも一つ言えることは、直接的に、がらっと変わるようなものではないということです。これも盆栽を考えてみれば分かるでしょう。

その中でも分かりやすい変わり方は「訓練付け」です。最初は板に付いていない変化も、このときはこう振舞おうとか、できるだけこうしようと繰り返しているうちに板に付いてきます。盆栽で枝を意図通りに曲げていくような感じで、狙ったほうへ矯正していきます。例えば「もう職場では泣かないようにしよう」というときに、職場で悲しくなっても、何度も何度も感情を逃がして平常心を保つ訓練をすれば、だんだんそれは達成されるでしょう。人の気持ちを考えるようにしよう、人の立場になって考えよう、という意識付けだけでも、繰り返していけば(最初は違和感があっても)馴染んできます。

でも、小さな力で大きな変化をもたらすという意味では、やはり「価値観が変わる」ということが重要でしょう。新しい概念が入ってくる、見え方が変わる、何かに感銘を受ける、など。価値観が変われば意識も変わって、訓練しなくても自然と変化していくかもしれません。価値観の変化そのもが性格をがらっと変えるわけではありませんが、これから盆栽の伸びていく方向が変わるということです。小さな変化で未来の結果を大きく変えるのです。

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「性格が変わること」のイメージができたでしょうか。今までの自分をそのままに、成長する方向が変わることで、全体のバランスが変わっていくということです。決して、自分を否定して別の人になろうとしないでください。

校長はこうしてみなさんの価値観を刺激しています。みなさんの盆栽が伸びる方向に良い影響を与えられれば幸いです。