タイトル「安心感」
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挿絵【事例】

とある女は二十歳で、最近バイトを始めたのだが、バイト先の男から積極的なアプローチを受けていた。彼女は、まぁお昼ご飯を一緒に食べるぐらいならいいかと思って付き合ったりしたのだが、なんだか彼と一緒にいると居心地が悪いなと感じていた。

二人でいると、ちょっとした仕草をいじられたり、言葉尻を捉えて笑われたり、話し方がぶりっこだと言われたりして、なんだか疲れてしまうのである。彼女は女子校出身でそもそも男慣れもしていないし、ただでさえビクビクしているのに、こんなにいろいろ言ってくる人とは一緒にいられないと感じたのであった。
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play_arrow 彼女は冗談を言う人があまり好きではないと言える play_arrow 彼女はあまりに気持ちが落ち着かなかったと言える play_arrow 彼女は彼より精神的に優位に立っていると言える

【校長の解説】

挿絵好きな人に限らず、相手を「いじる」ことで笑いを取るタイプの男はかなりいるが、その内容にもセンスが必要だし、相手が傷ついたり動揺しすぎていないか感じ取る力も必要だろう。彼はただただ彼女を不快にさせただけであった。

彼女をいじる立場というのは、彼が精神的優位に立っているということであり、そういうこと自体は恋愛においてマイナスではない。しかし彼女のように男慣れしていなくてビクビクしているとか、対人に自信のない人や、精神的に不安定な人というのは、まず高い価値を示されるとか面白いことを言うとかよりも、安心感を必要としていることが多いのである。安心感や安定感を得られるかどうか、というのが大きな焦点となっており、それをクリアしたときに恋愛感情が湧いてくるという順序になっている。安心感だけでは好かれないかもしれないが、安心感が重大な引き金となって、恋愛感情を呼び込んでくることが多い。

これは男女逆でも言えることで、安心感を感じられる人を好きになりやすい男というのはそこそこいる。話していて、馬鹿にされない空気感であったり、何でも言える感じというのがあると、好きになりやすい男というのが一定数いる。

とりあえず良い点というのはないよりあったほうが良いに決まっているから、全員が、安心できる雰囲気とか一緒にいて疲れない雰囲気というのを持っておくに越したことはないだろう(安心できる雰囲気があるとドキドキできなくなる、というわけではないしデメリットはない)。

安心感というのはどうやって醸し出されるかというと、一つは「動揺しないこと」である。感情を殺している感じではなく、物事をありのままに受け止めようとする度量が大きいことである。例えば相手の親が離婚して父が蒸発した、などというエピソードを聞かされたときに、絶句する人や、「おいおいおいおいおい」と言い出す人や、いきなり「そりゃ最低の父親だね」などと言い出す人にはあまり安心感がないだろう。聞いてもいないのに「おれはそれでもかまわないよ」「べつにいいんじゃないの」と言って軽視するのも、物事を受け止めきれていないと感じられて安心感がないだろう。こう言えば良いというマニュアル的なものではないが、「いっぱい苦労したんだねぇ」「みんなにいろんなことがあるね。大変だったでしょう?」「そうなんだ?父親を探してるとかは?」などと、そのまま受け止めている感じが出ると、あぁこの人は普通に話を聞いてくれる人だと思うのではないだろうか。これらの例も流れや雰囲気に左右されるところではあるが。

安心感を醸し出すための要素としてもう一つ大事なことは「小さなことにこだわらないこと」である。問題文の彼はこの点で著しく安心感に欠けていたと言えるだろう。ちょっとした仕草をいじる、言葉尻を捉えて笑う、話し方がぶりっこだと突っ込む、などというのはいじられ慣れていていじられるのが好きな人には良くても、多くの人はうざいと感じるし、余裕のない人にとっては疲れるしやめてほしいことである。例えば相手がおかしなことを言ったときやちょっと失敗したときなどに、それを笑ったりいじるのは良くても、しつこくそれをネタ化して引っ張り過ぎたりしていると嫌な気分にさせるだろう。もっと大枠では「肯定している感じ」「君はそのままでいいよという感じ」が大事なのである。小さな点に言及しても、ほどよく手放して流していく、小さなことであれこれ言わない、というゆったりした構えをすることが安心感につながる。

安心感というのは本当に大きな大きな武器である。特に男は、安心感があるかないかで、付き合える相手の量が大幅に変わることだろう。安心感だけではどうにもならない相手はたくさんいるが、何としても持っておきたい要素である。そして、特に若いうちに、若さと同時に安心感を兼ね備えていれば、年上が自然と安心感を備えた場合よりも優位に立てることだろう。