タイトル「ポジティブになろうとすること」
▼下記の事例を読んで正しいと思うものを一つ選んでください。
挿絵【事例】

とある男25歳は、最近すっかり自信をなくしていた。友達も少ないし彼女もできないし、仕事も忙しいばかりで、給料も良くなければやりがいもない。本当は国家資格を取るべく勉強をしていたのだが、経済的な事情で就職し、忙しくなって断念した。

小中学生のころはかなり優秀で人気者だったのに、ここのところはダメ人生だと感じている。今からでも仕事を替えて、貧乏しながらでも資格の取得を目指せばいいとは思うのだが、やる気もなかなか起きないし、いったいどうすればいいのかと、どんどん落ち込むのであった。
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play_arrow 彼は元々が怠惰な性格だと言える play_arrow 彼に必要なのは前向きさだと言える play_arrow 結局のところ彼は実力が不足しているのだと言える

【校長の解説】

挿絵やる気とか努力まで含めて実力だ、という人はいるが(考え方は人それぞれだが)校長はそうは思わない。運や、それぞれが辿る人智を超えた経緯によって、どうにもこうにも頑張れなかったり力を存分に発揮できないということは多々あるだろう。彼はとても悪い循環に陥っているのではないだろうか。

この問題文は、多くの人が抱える悩みの典型例だと言ってもいい。人生がうまくいかない、努力しなくちゃいけないのは分かっている、でも努力できないし活力がない。そこで自己嫌悪になる。もしくはそのうち何割かの人は、やる気が出ないのも環境が悪いからだとか運が悪いからだと思っている。自分だって希望とか前向きさとか自信があれば頑張れるのに、と。そして「前向きさは結局どうすれば手に入るのか」というところで行き詰まる。または「前向きさを手に入れるためには金とか地位とか素敵な恋人とか分かりやすい何かが必要だ」と考える。そして「分かりやすい何か、そういった価値を手に入れるためには努力が必要だ」という考えに至り、努力するための「やる気」が起きないから、結局どうすればいいのか、と堂々巡りになったりして行き詰まる。

選択肢の中で「彼に必要なのは前向きさだ」というのを正解にしたが、当たり前の話ではある。だがその「前向きさ」というやつがなかなか手に入らない。

実は結論だけは非常にシンプルである。我々は、やる気を出そうとか、前向きになろうとか、いくら考えてもそうはならない。いや、多少はものの考え方とか、誰かの生きざまに触れたりして心が変わったりするから、「気の持ちよう」で変わる感じもするのだが、実際は短期的な効果しかなかったりする。気の持ちようとか意識改革というのは、言ってみればコンロを点火するときに「チチチチチ・・・」と電気で火花を起こすぐらいのもので、きっかけにはなることはあるが、メインのエネルギーにはならない。

前向きさがないときに活動エネルギーを発生させる方法は限られている。追い込まれるか、劣等感や嫉妬心などネガティブなパワーを使うか、ただ意志の力で無理矢理自分を動かすか、前向きな出来事をひたすら待つことである。どれもこれも「副作用が大きい」か「運任せ」であり、こんなことで長く安定的に前向きになることはない。ただこの瞬発力があるうちに何らかの良い結果が出て、それがまた次の活動エネルギーを生み、そしてさらに大きな結果を引き寄せる・・・という好循環に入るしかない。そして火が小さいうちほどちょっとしたことですぐ消える。それでも何度も何度も好循環に入れようと試すしかない。

あまりつらい現実を突き付けたくはないが、運任せな方法以外では、やる気がなくても、無理矢理に行動を起こしてみるしかないのである。自分の出した成果や、自分が成果を出そうとして頑張ったことへの承認とか、周囲から称賛とか、そういうことがあって自信はついていく。意識改革など「気の持ちよう」は、きっかけづくりや、好循環時の心の「補強」でしかなく、ダイレクトに長く自分を前向きにさせてくれるものではない。

幸せになりたければまず努力するしかない、と言っているようで絶望する人もいるかもしれない。しかし、考え方によっては、まぁ全てを諦めたりはせず、そこそこやれることをやりながら何か浮上のチャンスが巡ってきたら頑張ろう、という姿勢でも良いとも言える。無理に人生を好転させるのは難しい、かといって完全に諦めれば好転する機会(運)すらなくなる、だからやる気がないながらに最低限できることはやろう、と。それはそれで一つの構え方だろう。人生には一つや二つ、なんだかんだ、前を向くきっかけというのは起こるものである。

人生を良いものにするために、どこまで人力を発揮するか、なんとかしようとするか、というのは人それぞれである。今日言ったような構造を踏まえて、自分のあり方を探ってもらえればと思う。