タイトル「ボトルネック」
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挿絵【事例】

とあるカップルはお互いに大学生であり、彼女は大のディズニーランド好きで、彼氏を何度も「一緒に行こう」と誘ってきた。だが彼氏が「えー。おれはいいよ」と断り続けていて、彼女をがっかりさせているのである。彼氏は今まで一度も行ったことがないらしい。

あるとき、彼女は「好きな人ができたら一緒にいくというのが昔からの夢なの」と強く説得し、やっと彼氏を連れていくことに成功したのである。当日、彼氏はあんなに嫌がってたくせに、行ってみれば彼女以上の浮かれぶりで「年パスほしい」とまで言い出していて、彼女は嬉しかったが、若干呆れた気持ちにもなるのであった。
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play_arrow 結局のところ彼氏もずっと行きたいと思っていたと言える play_arrow 結局のところ彼氏の「食わず嫌い」であったと言える play_arrow 彼女との不仲がディズニーランドで解消されたと言える

【校長の解説】

挿絵いろいろな要素が絡んでいる可能性がある。まず、内向的な人は、相手の言うことにすんなり乗りたくない、自分からいきたいと思えないとなかなか動かない、という特徴があるが、この彼氏もそうだったのかもしれない。そして基本的には物事に懐疑的な目を向けていて、自分が納得したことだけ受け入れる。外向的な人は新しいことにまず乗ってみて合わないものを排除していく形になりがちだが、彼氏はそうではなかったと思われる。

単純に、魅力を分かっていなかった、味わってみてやっと分かった、ということもあるだろう。前から行ってみたいとすら思っておらず、行ってみて、その魅力を知ったのかもしれない。

とりあえず「おれはいいよ」と遠慮してしまう彼は、言ってみれば新しいことへの警戒心が強いのである。前から行ってみたいと思っていなかったかもしれないが、もしかすると本当は行ってみたいと思っていたかもしれない。でも今まで行ったことないというのがちょっと恥ずかしいとか、みんなはその場に慣れているのに自分は初めてだとなんかプライドが保てないとか、彼女が優位に立つような場にいきたくないとか、そういうのもあった可能性がある。しかし行ってみて、どういうところなのか具体的に分かり、勝手を知って、全ての懸念は去り、思い切り楽しんだのではないだろうか。

新しいことに挑戦しよう、という話でもいいのだが、今日言いたいのは「ボトルネック」についてである。ボトルネックというのは、瓶の首のところ、瓶の細くなっている部分である。バケツのようには水がドバドバ流れ出ず、出てくる水量を制限しているのは、その首の部分だということ。交通渋滞においては、例えば交通事故による車線規制があって、そこの詰まりさえ解消すれば渋滞が解消する、ということがあるだろう。花火大会で人が動けなくて詰まっているとき、実は道路の狭いところにたこやき屋の露店があって、その露店に並ぶ人が増えるとそこから人の流れが滞る、ということがあるだろう。こういった「詰まり」がボトルネックである。この考え方を持ってほしいのである。

例えばある男に片想いしているとして、彼はそっけないし恋愛にも興味無さそう、という風に見えたら諦めてしまう人もいるだろう。だが、恋愛に興味がなさそうに見えるその男は、「自分が好かれるのかどうか」が先に懸念としてあるのかもしれない。そのボトルネックが解消された途端に(彼が好かれていると感じた途端に)急に盛り上がったり優しくなったり恋愛感情を出してくるという可能性もある。だから、普通に告白したり、あからさまにデートに誘って「好き」という態度を出した後で、相手の態度ががらっと変わる可能性もあるだろう。「好かれると好きになる」という人は、好かれることがまずボトルネックになっていることが多い。

若い男などに多いが、例えばラブホテルの使い方が分からないというのが恥ずかしいとか、例えば性行為で分からないところがあるとかで、性に淡白なふりをしている人もいるだろう。分かってしまえば急に調子に乗る、がらっと変わる、そういうこともある。

ボトルネックの部分が根深くて大きな大きな課題ならば仕方がないが、問題文のように、たいしたことがない理由で詰まっていたということもある。本当はラブラブになれるはずの二人なのに、最初のところがうまく噛み合わずに詰まってしまい、終わってしまう恋愛もあるだろう。

ボトルネックというのは多くの場合「もったいない箇所」なのである。元々の水量自体が少ないとか、課題が大きすぎるなら仕方がないが、簡単なボトルネックによって詰まっているのなら、それは本当にもったいない話である。人生におけるボトルネックが、つまらない恐れ、思い込みや決めつけ、無知によるものだとしたら、ぜひ意識して詰まりを解消してほしいと思う。